「パリ、恋人たちの2日間」”2 days in Paris"  ジュリー・デルピー


ジュリー・デルピーアメリカに行ってから、「何でこんな作品に?」と首をかしげたくなるようなB級映画にも出演してる。十代の頃から、ゴダールやキェシロフスキ、ベルトラン・タヴェルニエなどのヨーロッパの巨匠監督の映画で印象的な役を次々と演じていたのに。
と思っていたら、こんな面白い映画を作っていたなんて!しかも、監督・主演・脚本・音楽、編集なんかも自分でやってしまっている。出演者だって、両親役は、本当の両親(2人とも俳優)だし、相手役は元彼のアダム・ゴールドバーグ。とにかく好きなように作りたかったんだろうな。自分の映画を撮るために、俳優業で稼いでいたそう。ジョン・カサヴェテスみたいに。

とにかく笑えて、何度も身悶えしてしまった。アダム・ゴールドバーグは、ちょっとずるい、その存在感がすでにもう可笑しい。あと、こんな家族本当にいやだ(笑)。シニカルというよりは、デリカシーの欠如によるユーモア。妹役のビッチさ加減もすごく大好き(笑)この女優が、ナイススパイスになってたと思う。

ウッディ・アレンって言われたみたいだけど、冒頭の、列に並んでいる人を皮肉るスキットなんてもうそのもの。しかもそのときジュリーは、黒縁眼鏡にアーミー風のカーキジャケットを着ていて、女ウッディ・アレンにしか見えない。

ヨーロッパ映画では美しきファムファタル役が多かったので、いかにもフランス女優ぽかったけど、本当は外向的な性格みたいで、脚本にも参加している「ビフォア・サンセット」からもそのことは感じられた。でもこの作品でさらにイメージが一新されたと思う。インタビューでも、セックスに関するジョークを考えるのが好きなの、とあっけらかんと言っていた。
そんなジュリー・デルピーの次の作品は、16世紀に実在した女性の物語で、こちらも監督・主演をするそうです。コメディじゃない、よね。